プロトタイプ開発とは?デジタルプロトタイプと機能プロトタイプの特徴を徹底解説
目次[非表示]
- 1.プロトタイプ開発とは
- 2.プロトタイプ開発の種類
- 3.デジタルプロトタイプとは
- 3.1.①デジタルプロトタイプの特徴
- 3.2.②デジタルプロトタイプの目的
- 4.機能プロトタイプとは
- 4.1.①機能プロトタイプの特徴
- 4.2.②機能プロトタイプの目的
- 5.ツールで作るプロトタイプとコーディングするプロトタイプの違い
- 6.デジタルプロトタイプ開発の流れ
- 7.機能プロトタイプ開発の流れ
- 8.デジタルプロトタイプと機能プロトタイプの活用フェーズの違い
- 9.プロトタイプ開発からウォーターフォール開発などへ移行する流れ
- 10.プロトタイプ開発からアジャイル開発へ移行する流れ
- 11.まとめ
- 12.お悩みご相談ください
プロトタイプ開発を通じて自社製品・サービスの品質向上を目指す際、どのような開発手法やプロセスがあるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
プロトタイプ開発で使用する試作品には、デジタルプロトタイプや機能プロトタイプなどがあり、それぞれ目的・具体性・活用フェーズなどが異なります。
この記事では、プロトタイプ開発の概要や種類などの基礎知識に加えて、システム開発と関連性が高いデジタルプロトタイプと機能プロトタイプの比較まで徹底解説します。
プロトタイプ開発とは
プロトタイプ開発とは、製品・サービスの最終的なバージョンの作成前にアイデアや概念を具現化し、実際にそれを試す過程のことです。
設計や機能を模索しながら改善点を特定し、ステークホルダーやエンドユーザーからフィードバックを得ることが、プロトタイプ開発の主な目的です。
プロトタイプ開発で作成する試作品は、目的や具体性、活用フェーズによって複数の種類が存在します。
そのため、自社製品・サービスに最適なプロトタイプを選定するには、正しい知識を身につけておく必要があります。
プロトタイプ開発の種類
プロトタイプ開発は、何を目的に行うか、どのような手法を用いるかで、下記の4種類に分けられます。
開発手法 |
概要 |
ペーパープロトタイプ |
紙に書き出したアイデアに基づいて作成した試作品。ユーザビリティテストを実施する際に使用される。 |
デジタルプロトタイプ |
専用のプロトタイピングツールやソフトウェアで作成した試作品。ユーザーインタフェース(UI)のデザインや、ユーザーエクスペリエンス(UX)を評価・改善する際に使用される。 |
3Dプリントプロトタイプ |
3Dプリンタで作成した試作品。短期間で形状のみを再現する際に使用される。 |
機能プロトタイプ |
プログラミング言語や開発フレームワークを使用して作成した試作品。機能やパフォーマンスを検証する際に使用される。 |
上記のなかでも、デジタルプロトタイプや機能プロトタイプは、さまざまな企業の製品・サービス開発で採用されています。
プロトタイプ開発をより理解できるよう、次項からはシステム開発と関連性が高いデジタルプロトタイプと機能プロトタイプに着目して特徴、開発の流れを説明します。
デジタルプロトタイプとは
デジタルプロトタイプは、プロトタイプ開発のなかでも特にメジャーな手法とされています。
①デジタルプロトタイプの特徴
デジタルプロトタイプは、通常、製品・サービスのビジュアルやインタラクションの側面を中心に構築されるものです。
専用のプロトタイピングツールや、Adobe XD・Sketch・Figmaなどのソフトウェアを使用して、製品・サービスのデザインを設計します。
デジタルプロトタイプのメリット |
|
②デジタルプロトタイプの目的
デジタルプロトタイプの主な目的は、UIのデザインやUXの流れを早い段階で評価し、改善することです。
デジタルプロトタイプの使用により、デザインの優れた点や改善点をいち早く特定でき、UIにおけるデザインの概念を検証することが可能です。
また、製品・サービスの使用にあたって、それぞれのステップや操作の順序、目標達成までのナビゲートなどのユーザー体験の流れを可視化し、評価できます。
機能プロトタイプとは
機能プロトタイプとは、特定の技術や機能を実装する際、実現可能性を検証するための手法です。
①機能プロトタイプの特徴
機能プロトタイプは、製品・サービスにおける特定の機能や動作を実際にコーディングして実証することに重点を置いています。
プログラミング言語や開発フレームワークを使用して、製品の特定の技術的機能やパフォーマンスを検証するために試作品を作成します。
機能プロトタイプのメリット |
|
②機能プロトタイプの目的
機能プロトタイプは、特定の技術や機能を実装できるかどうかを検証する際に使用されます。
たとえば、複雑な機能を実装する際、遭遇する可能性のある問題や障害を特定し、それらの対処法を評価できます。
機能プロトタイプは、製品・サービスのパフォーマンスや技術的な挑戦に対処するための有用な手段です。
実際のシステムや機能の性能をテストし、必要に応じて調整や最適化ができます。
ツールで作るプロトタイプとコーディングするプロトタイプの違い
ツールで作るデジタルプロトタイプと、コーディングが必要な機能プロトタイプの違いは、目的、具体性、作成過程によって定義されます。
それぞれのプロトタイプは、製品開発プロセスの異なる段階や目的に基づいて選ぶことが望ましいです。
ツールで作るプロトタイプ |
コーディングするタイプ |
|
|
デジタルプロトタイプ開発の流れ
デジタルプロトタイプは、主にソフトウェアまたはアプリケーション開発の初期段階において、デザインや機能をデジタルで表現するために使用されます。
▼デジタルプロトタイプ開発の基本的な流れ
- 要件定義
- ワイヤーフレームの作成
- デザイン設計
- プロトタイピング
- ユーザーテスト
- 反復改善
デジタルプロトタイプの開発には、UI/UXデザインやインタラクティブ性、ユーザー体験の試作などが含まれます。
これらは主に、ソフトウェアやデジタルサービスに関連しているものが多いです。
機能プロトタイプ開発の流れ
機能プロトタイプは、製品の技術的または物理的な側面において実現可能性を探るために用いられます。
▼機能プロトタイプ開発の基本的な流れ
- 要件定義
- 概念設計
- 初期プロトタイプの作成
- 技術テスト・評価
- 反復改善
- 詳細設計
機能プロトタイプの場合、実際の機能や材料を使用して開発が行われ、物理的な製品やシステムの開発に焦点を当てることが特徴です。特にハードウェア製品や組み込みシステムなどに機能プロトタイプが適用されます。
デジタルプロトタイプと機能プロトタイプ開発はいずれも、アイデアの実現性の評価、構想の具体化、より完成度の高い製品・サービスへの発展といった目標や反復的なプロセスが含まれます。
デジタルプロトタイプと機能プロトタイプの活用フェーズの違い
デジタルプロトタイプと機能プロトタイプは、異なるフェーズで活用されます。
それぞれの活用フェーズの違いについて詳しく解説します。
①デジタルプロトタイプの活用フェーズ
デジタルプロトタイプは、主にアプリケーションのデザインやUI/UX設計の初期段階で活用されます。
デジタルプロトタイプの作成により、アプリケーションの基本的なコンセプトやデザインを視覚化できます。その後、チームメンバーやステークホルダーとデジタルプロトタイプを共有してアイデアに対する理解を促進し、早期の段階で意見を集約することが可能です。
デジタルプロトタイプは、インタラクションの試作としても活用されます。 ユーザーがアプリケーションを「どのように操作するか」「画面遷移をスムーズにできているか」などを初期段階で評価し、ユーザビリティの問題を検出・修正します。
②機能プロトタイプの活用フェーズ
機能プロトタイプは、アプリケーションの主要な機能やバックエンドとの連携など、技術的な実現の可能性を試す際に活用されます。
機能プロトタイプを使用して、アプリケーションの核となる機能が技術的に実現できるかどうかを検証することが可能です。
たとえば、データの同期やAPIの応答性、第三者サービスとの連携などを機能プロトタイプでテストします。
さらに、ユーザー体験に影響を与える応答時間、処理速度などの性能指標も測定可能です。
機能プロトタイプを使用したパフォーマンスの評価により、ユーザーエクスペリエンスを最適化するための改善点を特定できます。
③デジタルプロトタイプと機能プロトタイプのまとめ
製品・サービス開発の初期段階では、デジタルプロトタイプを使用してアイデアの形やデザイン、ユーザーエクスペリエンスの基礎を固めます。
その後、機能プロトタイプを使用して、実際にアプリが想定どおりに機能するか、技術的な課題はないかなどをテストするのが一般的です。
したがって、WEBシステムやネイティブアプリ開発においては、デジタルプロトタイプも機能プロトタイプも両方採用でき、異なるフェーズで活用できるということを押さえておきましょう。
プロトタイプ開発からウォーターフォール開発などへ移行する流れ
プロトタイプ開発から始めて、その後、ウォーターフォール開発などへ移行する場合、下記の2通りの例があります。
①デジタルプロトタイプ開発→機能プロトタイプ開発→ウォーターフォール開発
②デジタルプロトタイプ開発→機能プロトタイプ開発→アジャイル開発
これらの開発の流れは、多大なコストをかけて綿密に開発されるプロジェクトに適しています。
たとえば、安全性・信頼性が非常に重要とされる医療機器や金融サービス、航空宇宙などの領域で見られる開発アプローチです。
まずは、プロトタイプを使用した事前検証により、技術的なリスクや市場適応性を評価します。
その後、計画性と予測可能性が求められるウォーターフォール開発や、より反復的で柔軟性を備えたアジャイル開発へと進む流れです。
これらのアプローチは、製品・サービスに高い品質基準が求められる場合や、規制対象に含まれる場合に適していると考えられます。
プロトタイプ開発からアジャイル開発へ移行する流れ
アジャイル開発とは、計画→設計→実装→テストの開発フェーズを機能単位の小さいサイクルで繰り返し、リリースする開発手法を指します。
プロトタイプ開発からアジャイル開発へ移行する流れは、主に下記の2通りあります。
①デジタルプロトタイプ開発→アジャイル開発
②デジタルプロトタイプ開発→機能プロトタイプ開発→アジャイル開発
これらの開発の流れは、スピードを重視するスタートアップやベンチャー企業向きと言えます。
たとえば、製品・サービスを短期間で市場へ投入し、ユーザーのフィードバックに基づいて迅速に改良し続けることを目標とするプロジェクトに適しています。
デジタルプロトタイプの開発により、製品コンセプトを視覚化し、潜在的な顧客や投資家などに具体的なアイディアを示すことが可能です。
その後、仕様変更や機能の追加に柔軟的に対応しやすいアジャイル開発へ移行し、迅速な市場適応型の製品・サービスを開発・改善していくことができます。
これらのアプローチは、新たなビジネスモデルを探求する場合や、開発の途中で市場の要求が急速に変化する可能性がある場合などに有効です。
まとめ
この記事では、プロトタイプ開発の概要や、デジタルプロトタイプと機能プロトタイプの違いなどについて、以下の内容を詳しく解説しました。
- プロトタイプ開発の種類
- デジタルプロトタイプの特徴、、開発の流れ
- 機能プロトタイプの特徴、目的、開発の流れ
- デジタルプロトタイプと機能プロトタイプの活用フェーズの違い
- プロトタイプ開発からウォーターフォール開発などへ移行する流れ
プロトタイプ開発は、製品・サービスの完成版を作成する前に、デザインやUI/UXを具現化し、実際のパフォーマンスなどを評価・改善する開発手法のことです。
目的・具体性・活用フェーズが異なるデジタルプロトタイプや機能プロトタイプの使用は、ウォーターフォール開発やアジャイル開発における品質維持やリリースまでのスピード向上などに寄与します。
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