生成AIの激動を乗りこなすために ── RAG時代の企業戦略と私たちの展望 ──
目次[非表示]
- 1.2023年という転換点
- 1.1.生成AIブームの到来
- 1.2.“AIを使いこなす”という発想への転換
- 2.生成AIのさらなる進化と「乗り遅れリスク」
- 2.1.急激な進化への備え
- 2.2.競合他社との格差拡大
- 3.生成AI ready な企業を目指す
- 3.1.ビジネス課題の見極め
- 3.2.データの整備
- 3.3.AI利用のガイドライン策定
- 4.生成AI native な人材の育成
- 4.1.AIとの協働が“当たり前”になる未来
- 4.2.AI教育・研修の具体例
- 5.RAGは過渡期かもしれないが、有力な選択肢
- 5.1.RAGとは何か
- 5.2.RAGがもたらすメリット
- 5.3.過渡期としてのRAG
- 6.日本企業が抱える課題とRAGの有用性
- 6.1.資本力の差と研究開発の限界
- 6.2.RAGを活かした“ニッチ戦略”の可能性
- 7.「貧者の知恵」としてのRAGを全クライアントに推奨する理由
- 8.RAGの具体的な業務改善例
- 8.1.カスタマーサポートの迅速化
- 8.2.製品マニュアルの自動要約・翻訳
- 8.3.社内ナレッジベース構築
- 9.来年はもっと刺激的な生成AIの転換点がやってくる
- 10.クライアントとともに、乗り遅れず成長し続ける
- 11.まとめ ── 次なるステージへ進むために
- 11.1.私たちが描く未来
- 11.2.一緒に新しい可能性を追求していきましょう
- 12.お悩みはぜひお気軽にご相談ください
こんにちは。株式会社divxで代表取締役社長をしてる物部です。
今回は2023から2024年にAIの世界がどのように進化したかを振り返りたいと思います。
今年、大規模言語モデル(LLM)を中心とした「生成AI」が、私たちのビジネスパーソンとしての常識を大きく変えました。生成AIの話題は、もはや技術者や先進企業に限らず、社会全体の関心事となっています。
私たちの開発会社でも、この変化を実感しています。クライアントからは「AI導入のタイミングは?」「社内にAIをどのように根付かせるのか?」といった具体的な質問が増えてきました。また、「将来的に自社で大規模言語モデルを持つにはどれほどのコストがかかるのか?」や「RAG(Retrieval-Augmented Generation)は本当に自社のビジネスに効果をもたらすのか?」などの相談も寄せられています。
今回は、生成AIが進化する時代に企業がどのような戦略や体制を整えるべきか、またRAGの可能性について詳しくお話しします。さらに、日本企業がAI競争においてどう戦うべきか、来年以降の生成AIの転換点に備えるための視点もお伝えします。
2023年という転換点
2023から2024年を振り返ると、生成AIが一気に注目を集める大きなトリガーになったのは、やはり2023年のChatGPTをはじめとする大規模言語モデルの急速な進化でしょう。これまでのAIツールと比べ、自然言語で驚くほど柔軟な対話ができることが、ビジネスパーソンにも非常に大きなインパクトを与えました。
生成AIブームの到来
以前から画像認識や音声認識、レコメンドエンジンといったAI活用は徐々に浸透していましたが、2023年は「文章の生成・要約」「対話形式でのコンテンツ作成」といった機能が一気に進化し、一般のユーザーでもそのメリットを実感できるレベルに到達しました。たとえば、
- 長文のレポート執筆支援
- コードの自動生成・修正
- カスタマーサポートの問い合わせ対応
など、幅広い業務での活用可能性が示され、企業も「これは使わない手はない」と強く感じるようになりました。
“AIを使いこなす”という発想への転換
生成AIをきっかけに、企業がAIを導入する際の姿勢にも大きな変化が生まれています。従来は「AIを導入しておけば、なんとなく業務効率が上がるらしい」「とりあえずPoC(概念実証)をやってみよう」というやや曖昧なアプローチが多かったのに対し、今では「具体的にどのタスクを自動化できるのか」「どの部署がメリットを得られるのか」といった実用レベルの議論が急速に増えてきました。
AIを単なる“ブラックボックス”ではなく、使いこなすためのプロンプト設計やデータ収集・チューニングの手法などがスポットライトを浴びているのは、その象徴的な動きといえます。
生成AIのさらなる進化と「乗り遅れリスク」
この流れは来年以降も加速し、より高度で多機能な生成AIが登場することは間違いありません。私たちの会社にも「どのタイミングで生成AIの導入を始めるべきか」と尋ねるクライアントが多くいますが、その答えとして強くお伝えしているのは、「今すぐ始めるべき」というシンプルなメッセージです。
急激な進化への備え
生成AIはわずか数カ月、あるいは数週間単位でも進化が目に見えて変わってきます。新たな大規模言語モデルが登場するたびに、驚くほどの性能向上が繰り返されているのが実情です。こうしたスピード感に、「後から追いつけば大丈夫」という考え方は非常に危ういといえます。
実際、組織としてAIを試行錯誤しながら運用していくには、開発プロセスの整備や従業員教育、セキュリティポリシーの策定など、多方面の取り組みが必要です。技術のキャッチアップに加えて組織変革の試行錯誤も伴うため、後手に回れば回るほど時間とコストのロスが膨らんでしまいます。
競合他社との格差拡大
すでに生成AIを活用した新規サービスや効率化を進めている企業が増えています。社内にAIを浸透させるには時間がかかるものですが、その間にも先行企業は着実にノウハウを積み上げ、サービスの質を高め、顧客満足度を高めています。一度競合他社とのAI活用レベルに差がつくと、それを埋めるのは至難の業です。
私たちはクライアントに「AIで“未来”を目指すのではなく、今まさに最前線で“現在”進行形の競争が始まっていると認識してほしい」と繰り返し強調しています。来年以降、さらに高度なモデルや連携プラットフォームが登場してくるなかで、“AI後進企業”にならないための第一歩を踏み出すことが不可欠です。
生成AI ready な企業を目指す
こうした急激な変化の波に対応し、社内の混乱を最小限に抑えつつ成果を最大化するには、まずは組織として「生成AI ready」な状態を作り上げることがポイントになります。これは単に「最新のAIツールを導入する」だけではありません。以下に挙げる複数の要素をバランスよく整備する必要があります。
ビジネス課題の見極め
最初にやるべきなのは「自社のどの課題がAIで解決できるのか」をしっかり洗い出すことです。AIで何でもできるわけではありませんし、逆にAIを使わなくても解決できる課題に大規模投資してもリターンは小さいでしょう。業務フローのどこがボトルネックになっているのか、人手がかかりすぎているのか、どんなデータが活用されていないのかなど、定量的・定性的に深堀りしていく段階が重要です。
データの整備
生成AIで高度なパフォーマンスを引き出すには、大量かつ良質なデータが必要です。ただし、文章生成系のモデルであっても、訓練用データやドキュメントが散在していては成果が出にくいのが現実です。データのクレンジングやメタデータの付与、アクセス権限のルールづくりなど、どれも地味な作業ではありますが、AI活用の成功を左右するカギとなります。
AI利用のガイドライン策定
AIを活用する過程で生じるリスク――たとえば誤情報の生成(ハルシネーション)、個人情報の取り扱い、知的財産権の問題など――にどう対処するかをあらかじめ決めておくことも大切です。特に、生成AIが生み出すコンテンツに関しては、誤った内容をそのまま公開してしまうと企業の信頼を失うリスクもあります。
そこで、「AIが生成したコンテンツを公表する前に必ず人間がレビューする」といった基本ルールや、社内外のデータをAIに入力する際のセキュリティポリシーなど、組織全体で共有できるガイドラインの策定が欠かせません。
生成AI native な人材の育成
さらに一歩進んで、私たちが強く推奨しているのが「生成AI native」な人材の育成です。これは単に「AIツールの使い方が分かるスタッフがいる」というレベルではなく、「AIとの協働が当たり前のように身についた状態」を指しています。
AIとの協働が“当たり前”になる未来
デジタルネイティブという言葉が示すように、インターネットやスマートフォンを生まれたときから使いこなす世代は、それ以前の世代とはデジタルスキルの身につけ方が大きく異なります。同様に、生成AIのある世界を当たり前として育った若手や、積極的に学ぶ意欲のある社員は、AIを使い倒すことに抵抗がありません。
彼ら・彼女らはプロンプトの改善やデータの扱い方、モデルの長所と短所などを深く理解したうえで、実際に業務のボトルネックをAIでどう解決するかを考えられるようになります。こうした人材が組織の中心になっていくことで、企業全体としての「AI活用文化」が根付いていきます。
AI教育・研修の具体例
では、生成AI nativeを育成するにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。私たちがクライアント向けに提供している研修・教育プログラムの一例を紹介します。
1. 基礎知識講座
- 大規模言語モデルの基本原理や主要ツールの概要を解説
- ハルシネーションや著作権問題、データ漏洩リスクなど、現場で起こりうるリスクを事例ベースで学習
2. プロンプト実践ワークショップ
- 「より正確な要約を得る」「固有名詞の間違いを減らす」などのテーマでプロンプトを調整しながら成果を比較
- チームごとにトライアル&エラーを行い、どうすればAIを“使いこなせる”のかを体感
3. 現場課題への適用演習
- 実際の自社ドキュメントや業務フローを題材に、どこにAIを組み込むと最大効果があるかを検討
- 成果物をまとめ、社内にフィードバックすることで、部署横断的に情報共有
4. 継続学習サポート
- 月に1回程度のフォローアップセッションを実施し、新しいAIツールの紹介や、社内で起きている問題への対処法を議論
- 社員同士が互いに学び合う文化を育むコミュニティづくり
このように、単なる一過性のセミナーではなく、継続的な学習と実践をサポートし、組織全体でAIの知見を蓄積する仕組みが不可欠です。
RAGは過渡期かもしれないが、有力な選択肢
では具体的に、生成AIをビジネスに活用するうえでどんなアプローチが有効なのでしょうか。私たちは現在、クライアントに対してRAG(Retrieval-Augmented Generation)を積極的に推奨しています。
RAGとは何か
RAGは、大規模言語モデルに外部データの検索(リトリーバル)機能を組み合わせ、より正確でコンテキストに沿った出力を生成する仕組みです。単純化すれば、以下のようなフローで動きます。
- ユーザーが質問を入力
- システムが外部のデータベースやドキュメントを検索して該当情報を取得
- 取得した情報を大規模言語モデルに渡し、要約や回答を生成
- 最終的に「ユーザーの質問に対して、検索結果に基づいた回答」が得られる
一般的な大規模言語モデルは、訓練データに含まれていない最新情報やドキュメントの詳細については誤情報を生成することがあります。しかしRAGを使えば、外部の正確な情報をリアルタイムに取り込み、モデルの応答に活かすことが可能になります。
RAGがもたらすメリット
- コストの抑制
- 自前で大規模言語モデルを構築・運用しようとすると、膨大なGPUリソースや電力、運営コストがかかります。その点、RAGであれば既存のLLMプロバイダを活用し、必要な部分だけを外部検索で補うため、初期投資を最小限に抑えられるという利点があります。
- 精度向上
- 通常のLLMでは「一般知識に基づいた回答」が返ってくるため、社内固有のルールやドキュメントとの関連が曖昧になることがあります。しかしRAGは必要な部分だけ社内のデータを検索して要約するため、コンテキストに合った正確性の高い回答が得られやすい構造になっています。
- セキュリティとデータ管理
- RAGを活用する際には、自社がコントロールするデータベースや検索システムを利用することになるため、機密情報が外部に流出するリスクを最小限に抑えられるというメリットがあります。もちろん設計や運用の段階での注意は必要ですが、それでもゼロからモデルを作るよりは格段に管理が容易です。
過渡期としてのRAG
一方で、技術的な観点では「やがては大規模言語モデルの性能が飛躍的に上がり、わざわざ外部検索を組み合わせなくても済む時代が来るのではないか」という見方もあります。実際、研究の最先端では、より大規模かつ多様なデータを事前学習済みのモデルが次々に開発されています。
しかし、現時点で多くの日本企業が限られた予算とリソースの中でAIを活用しようと考えると、「貧者の知恵」としてのRAGは極めて有効な選択肢です。私たちも数多くのプロジェクトでRAGを導入・検討してきましたが、実際に業務効率化や顧客満足度向上など目に見える成果を得ている企業が増えています。
日本企業が抱える課題とRAGの有用性
AI分野において、日本は海外、特に米国や中国の巨大テック企業に比べて明らかに後れを取っています。これは資金力や研究開発体制、GPUリソースの確保など、あらゆる面で構造的なハードルがあるためです。
資本力の差と研究開発の限界
米国の主要なテックジャイアントは、数兆円規模の投資を行い、大量のGPUを自社データセンターに確保し、世界の英知を結集して大規模言語モデルの研究を進めています。こうした企業と同じ土俵で競争するのは極めて厳しく、日本企業が同規模のモデルを開発・維持するのは現実的ではありません。
これには国家的な政策や産業構造も絡み、単に「企業努力だけでどうにかなる」問題ではないのが現実です。
RAGを活かした“ニッチ戦略”の可能性
しかし、だからといって日本企業が手をこまねいているわけにはいきません。巨額の投資が難しいからこそ、既存の大規模言語モデルを活用しつつ、自社の強みを付加価値として組み合わせる戦略が求められます。RAGはまさにその代表的な方法といえます。
- 特定業界や領域の専門知識を持っている
- 独自の顧客データやドキュメントを保有している
- 高い品質管理や現場力が優れている
このような企業であれば、大規模モデルの基盤を借りながらも、自社の“秘伝のタレ”を注入し、より実務に即したAIシステムを構築することができます。ニッチ分野に特化し、高品質のデータと運用ノウハウを掛け合わせることで、海外の大手とは違う価値を提供できるかもしれません。
「貧者の知恵」としてのRAGを全クライアントに推奨する理由
日本のポジショニングをふまえて、「貧者」とあえて語弊のある言い方を意図的にしましたが、当社では、コンサルティングやシステム開発の初期フェーズでクライアントの状況をヒアリングした際、ほとんどの企業に対してRAGの導入を検討することを提案しています。その理由は以下の3点に集約されます。
投資対効果が高い
- 大規模言語モデルを自社で作ろうとすると技術者の確保やGPUコストなど高コスト体質になりがちだが、RAGであればクラウド上の既存LLMを活用し、最小限の検索システムを組み合わせるだけで十分な成果を狙える。
導入スピードが早い
ゼロからAIインフラを構築するのではなく、既存のインフラをベースに取り組めるため、数週間から数カ月程度でPoCを行い、効果を検証できる。
安全性・柔軟性
- 特に日本企業の場合、データセキュリティや法令遵守が大きな懸念。RAGなら、企業が管理するデータを検索エンジンとして保持し、モデルそのものには不要な情報を渡さない設計ができる。これにより、リスクをコントロールしながら段階的に活用範囲を広げやすい。
当社自身、このアプローチを用いて社内文書の検索業務や、ナレッジベース構築の効率化に成功しています。クライアントにも試験導入を進めながら、カスタマーサポート部門での問い合わせ対応や営業資料の作成支援など、多彩なユースケースを展開中です。
RAGの具体的な業務改善例
ここでは、RAGを用いて実際に大きな成果が得られたと考えられる事例を、いくつか抽象化してご紹介します。もちろん、各企業によって課題やゴールは異なりますが、RAG導入のイメージをつかんでいただけるでしょう。
カスタマーサポートの迅速化
- 課題: ユーザーからの問い合わせに回答する際、FAQドキュメントが複数の部署に分散しており、オペレーターが情報を探しきれない。回答に時間がかかり、顧客満足度が低下していた。
- 取り組み: FAQやマニュアル、内部ウィキなどのドキュメントをまとめて検索可能にし、RAGによる要約回答を導入。
- 成果: オペレーターが入力した問い合わせ内容を解析し、最適な回答候補を自動生成。回答の作成時間が平均30%削減され、顧客満足度も向上。
製品マニュアルの自動要約・翻訳
- 課題: グローバル展開している企業のため、製品マニュアルが膨大な言語パターンで存在。人力での更新作業が追いつかず、誤訳や情報の更新漏れが多発。
- 取り組み: マニュアルデータをクラウド上に集約し、RAGで検索・要約させたうえで多言語翻訳を自動適用。
- 成果: マニュアルの翻訳作業に要していた時間が約50%削減。現地法人からの問い合わせも減少し、エンドユーザーの利便性が大きく向上。
社内ナレッジベース構築
- 課題: 社員数が増え、各担当者だけが知っている“属人的なノウハウ”が蓄積しやすい状況に。リーダーや熟練社員の退職に伴い、ノウハウの流出リスクが懸念されていた。
- 取り組み: 社内で共有すべきドキュメントやメモ、実践事例などを一元管理し、RAGによる検索・要約機能を実装。新入社員でも簡単に必要情報へアクセスできるようにした。
- 成果: 情報検索にかかる手間が減り、熟練スタッフが問い合わせに対応する時間を削減。組織の学習効率が向上し、離職リスクに備えたナレッジ継承が行われるようになった。
来年はもっと刺激的な生成AIの転換点がやってくる
ここまでRAGを中心にお話ししましたが、来年以降は生成AIがさらに多様な進化を遂げ、RAG以外にも革新的なアプローチが次々と登場すると考えられます。たとえば:
1. マルチモーダルAIの普及
テキストだけでなく、画像や音声、動画など複数の情報源を統合して理解・生成するモデルが活発に研究されています。たとえば、写真を見て状況を説明し、さらに文章を生成する……といった総合的な応答が可能になるかもしれません。
2. 自律エージェントの台頭
特定のタスクを定義し、それをAIエージェントが自律的に遂行するような仕組みが実用段階へと進む可能性があります。営業活動や調達業務などが、AIに一任できる部分も増えるかもしれません。
3. プラットフォーム連携の高度化
ChatGPTなどに代表されるLLMは、API経由で他のシステムやデータベース、IoT機器などと連携できるようになっています。これにより、AIが実世界の物理的な情報やリアルタイムデータを活かし、さらに実用度の高い回答やアクションを生み出せるようになるでしょう。
こうした進化は、私たちにとってはもちろん刺激的なチャンスである一方、企業側にとっては「さらに速い技術刷新への対応が求められる」ことを意味します。RAGに限らず、新しいテクノロジーが登場するたびに、導入可否の検討、社内ルールのアップデート、ユーザートレーニングなどが発生するため、「今から始めようと思ったら時すでに遅し」という事態にもなりかねません。
クライアントとともに、乗り遅れず成長し続ける
当社が重要視しているのは、「クライアントとともに成長する姿勢」です。私たちは単にAIソリューションを売り込むのではなく、クライアント企業が自立的かつ継続的にAIを使いこなせる体制を目指したいと考えています。そのために、以下のような支援を行っています。
1. 課題発掘と優先度付け
AIで解決できる(あるいは解決すべき)課題を的確に洗い出し、それらを短期・中期・長期プランに仕分け。投資の最適化を図る。
2. PoCから本格導入へのエスコート
小規模な試験導入(PoC)を素早く実施し、その結果を踏まえて本格的なシステム統合や運用サポートへとスムーズに移行できるよう、プロジェクトマネジメントを支援。
3. 人材育成プログラムの継続提供
社内向け研修や勉強会の企画・運営を伴走し、新たなツールやノウハウが出てきた際も迅速にフィードバック。
4. 最新動向の共有とコラボレーション
AI技術の進化を常にウォッチし、クライアントに合ったアップデートの提案を行う。成功事例や失敗事例を共有しあい、相互に学ぶ機会を提供。
このように、「ただ単に導入して終わり」ではなく、企業文化としてのAI活用を一緒に築き上げていくことが、私たちの目標です。
まとめ ── 次なるステージへ進むために
ここまで述べてきたとおり、生成AIやRAGの領域ではこれからが本番とも言える段階に入っています。2023年は「生成AI元年」と呼ばれることもあるように、多くの企業が初めて大規模言語モデルに触れ、その力を実感し始めた年でした。2024年も同様の動きだったと思います。しかし、これから先はさらに高度化・多様化するAIテクノロジーに、どうやって乗り遅れずに取り込んでいくかが企業の大きな課題になります。
- 今のうちに実践し、経験値を貯める
- 社内を「生成AI ready」に整備する
- 組織として「生成AI native」な人材を増やす
- 大規模なモデルを自社で保有できなくても、RAGなどの手法を活用して現場レベルでの価値を高める
そして何より、2025年以降に訪れるさらなる転換点に備え、クライアントとともに試行錯誤を楽しみながら成長していく姿勢が大切です。
私たちが描く未来
私たちは、「生成AIによって、どの企業も創造性を最大限に引き出せる世界」を目指しています。そのために、自社だけでなくクライアント企業やパートナー企業、研究機関などと積極的に連携し、最新のAI知識とビジネスノウハウを融合させていきたいと考えています。
- 日本独自の強み(職人気質、現場改善のノウハウ、品質重視の文化など)
- 世界水準のLLMプラットフォーム
- RAGのような現実的な“ブリッジ”技術
これらを組み合わせることで、“資本力で劣勢”というハンデを超えるようなイノベーションが生まれると信じています。
一緒に新しい可能性を追求していきましょう
最後に、皆さまにお伝えしたいのは「生成AIの活用は新たなスタートを切るための一歩だ」ということです。AIは私たちの手助けをしてくれるツールであり、それをどう使うかは私たち次第です。組織やチームがAIと連携し、新たな価値を創造することが、これからの競争力のカギになるでしょう。
私たち開発会社は、皆さまのビジネスと組織づくりをしっかりサポートしていきたいと考えています。RAGという手法は今後の技術の一つかもしれませんが、今あるリソースで「どんな成果が得られるか」を共に探求し、来年の新たな転換期にも柔軟に対応していきます。
お悩みはぜひお気軽にご相談ください
まだ導入に踏み切れていない方や、一度試したけれどうまくいかなかった方も大歓迎です。小規模なプロジェクトから大きな改革までお手伝いさせていただきます。一緒に学び、小さな成功を積み重ねながら、この変化の時代を楽しんでいきましょう。
皆さま、2024年本当にお疲れさまでした。そして2025年は、もっとワクワクする生成AIの転換期になるはずです。それに乗り遅れないよう、共に前進し未来を切り拓いていきましょう。
どうぞ、素敵な年末年始をお過ごしください。来年も引き続き、皆さまと一緒に新しい可能性を追求していけることを願っています。
(執筆時間:3分30秒)