安全に業務を進めるためにするべきこと
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.経験からの気づき
- 2.1.提案例
- 3.共通の判断基準を設けなかったときに起きる問題
- 3.1.工数の増加について
- 3.2.スケジュールの遅延について
- 4.安全に業務を進めるためにするべきこと
- 4.1.判断軸の設定方法
- 4.2.判断軸の承認を得る方法
- 4.3.判断軸の整合性を得る方法
- 5.最後に
こちらの記事はDIVXアドベントカレンダー2023の15日目の記事です。
はじめに
はじめまして、DIVXの田村です。
Webサイトやサービスのデザインを担当してきた経験から学んだことを元に、業務の進め方についてまとめました。安全に業務を進めるためには、クライアントと共通の判断軸を確立し、承認を得ながら業務を進めることが重要だと感じています。
プロジェクト進行中の大きな変更やフィードバックを防ぎ、安全かつ円滑な業務進行のためには、具体的な判断軸の設定方法や確認方法、承認を得るための手順が必要だと思います。この記事では、安全に業務を進めるために重要な判断軸に焦点を当てます。
経験からの気づき
Web制作において私がとくに重視してきたのは、クライアントが安心してリリースできるよう、事前の準備を怠らないことです。具体的には、クオリティの向上とスケジュールの順守を重視してきました。
デザイン業務ではヒアリング時に要望を整理し、それを要件として整理しますが、その際の提案方法がプロジェクト進行に大きな影響を与えると感じます。クオリティとスケジュールのバランスを確認するため、判断基準を明確にしました。具体的には、クライアントに3つの提案を提示し、方針の確認を行うことで、制作方針の決定や全体の進行がスムーズになりました。
提案例
1. 要望に沿った案
・要望に厳密に沿った提案。基本機能やデザインが要望どおり。
2. 要望に+α追加した案
・要望に追加で付加価値を提案。クライアントの期待を上回る提案。
3. 要望以外の案
・要望外のアプローチ。新しいアイディアや切り口を提案し、選択肢を広げる。
共通の判断基準を設けなかったときに起きる問題
提案する際には必ず意図を用意します。意図を用意することで、クライアントに提案内容が認識される成果物となります。とくに複数の提案がある場合、明確な判断基準を設けることで比較検討がしやすくなります。
逆に、判断基準を設けなかった場合、修正の基準が不透明となり、フィードバックによる工数の増加やスケジュールの遅延が発生します。判断基準が明確でないまま作業が進むと、業務進行の安定性が損なわれる可能性が高まります。
工数の増加について
通常の製作工程では、初校→二校→三校を経て校了となりますが、判断基準がズレていると修正が続き、工数が増加します。このため、制作者とクライアントのすり合わせが重要であり、判断基準の共有が工数の効率的な管理につながります。
スケジュールの遅延について
工数の増加に伴い、スケジュールの遅延が生じます。この遅延は他の作業にも波及し、たとえばデザインの決定が遅れた場合、フロントエンド開発の進捗も遅れ、実装確認に問題が生じる可能性があります。スケジュールの順守は、判断基準の共有が不可欠であることを示しています。
安全に業務を進めるためにするべきこと
ここまでで、判断軸の重要性や業務進行上で起こり得る問題についてまとめました。安全に業務を進めるためにするべきこととして、共通の判断軸の設定方法や、承認を得るための最適な方法をデザイン制作を例にまとめたいと思います。
判断軸の設定方法
判断軸、判断基準、または水準(数値)は異なる呼び名ですが、一般的にはコンセプトとも呼ばれます。コンセプトは「全体を貫く基本的な観点や考え方」のことを指します。判断軸を設定する方法の一例を以下の図に示しました。
クライアントの要望が1〜4まであると仮定し、左図の上部の「?」は判断軸となります。要望1〜4を共通する考え方が「?」の領域に存在します。この「?」領域を明確にし、クライアントとの共通理解を確立することが大切です。
右図に示すように、具体的な判断軸の例を挙げました。この場合、判断軸は「シンプル機能でリリース」としています。要望1〜4は「シンプル機能でリリース」を実現するために関連付けられています。各要望の内容は、見た目と機能の両面でシンプルな提案としてまとめることができるでしょう。
図:判断軸のツリー構造
判断軸の承認を得る方法
判断軸を確立したら、その判断軸に基づいて比較検討を行うことが重要です。他社の事例と比較して、独自のポジションや判断基準を具体的に示しましょう。
私は縦横の2軸を基準にした比較検討を行うために、マトリクス図を使用しています。ただし、複雑でなくても構いません。重要なのは、クライアントと十分にすり合わせができることです。
この図では、想定ターゲット層を確認するために、機能と要求される技術水準の2つの判断軸で他社と比較しています。想定ターゲット層のポジションが他社と比べてどのような特長があるのかを確認していくことが重要です。
図:比較検討マトリクス
判断軸の整合性を得る方法
まずは判断軸の設定と比較検討図の手順を実践してみてください。初めは内容が完璧でなくても問題ありません。重要なのは提案することです。判断軸や比較検討図は、提案を通じて徐々に整合性を持った状態になるでしょう。図のように、業務フロー上の各工程で出来上がる成果物は判断軸によって一貫しており、比較検討図に基づいて決まっているため、簡単に変更できないものとなります。内容をしっかりとすり合わせることで、あとは設定した判断軸に基づいて制作を進行するだけです。
図:業務フロー
最後に
最後までお読みいただき、ありがとうございます。判断軸を確立することの重要性はデザイナーやエンジニア、他の職種にも共通しています。記事にまとめた手法を実践していただくことで、安全な業務進行のお手伝いができたなら幸いです。
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