スクラッチ開発をアジャイル開発で進める手順!パッケージ開発との相違点も紹介
目次[非表示]
- 1.スクラッチ開発とは
- 2.スクラッチ開発とパッケージ開発の相違点
- 2.1.①スクラッチ開発の特徴
- 2.2.②パッケージ開発の特徴
- 3.スクラッチ開発の3つのメリット
- 3.1.①独自性の高いシステムを開発できる
- 3.2.②要件定義を最適化できる
- 3.3.③システム改修をしながら長期的に運用できる
- 4.スクラッチ開発の3つのデメリット
- 4.1.①他の開発手法より開発期間が長くなりやすい
- 4.2.②初期費用が高額になりやすい
- 4.3.③開発に一定の技術とノウハウが求められる
- 5.スクラッチ開発の基本的な流れ
- 6.スクラッチ開発を進める2種類の手法
- 6.1.①ウォーターフォール開発
- 6.2.②アジャイル開発
- 7.スクラッチ開発をアジャイル開発で進める手順
- 8.まとめ
- 9.サービス一覧
- 10.お悩みご相談ください
独自性の高いシステムを開発する際、スクラッチ開発が選択肢に挙げられます。
開発期間が長期化しやすいスクラッチ開発ですが、アジャイルで開発を進めることで期間の短縮につながり、仕様変更も柔軟に対応可能となります。
この記事では、スクラッチ開発をアジャイルで進める手順や、パッケージ開発との相違点などを紹介します。
スクラッチ開発とは
スクラッチ開発とは、パッケージなどを使わず、オリジナルのシステムをゼロから開発することです。
独自開発とも呼ばれ、自社が理想とする独自性の高い機能や、パッケージにはない自由度の高い機能などを搭載できる開発手法です。
明確なビジョンがある際に用いられる開発手法の一つですが、自社で行う場合、管理部門や現場に大きな負荷がかかることが懸念されます。
そのため、社内の開発リソースに応じて、システム開発会社への外注も視野に入れる必要があります。
スクラッチ開発とパッケージ開発の相違点
システム開発の手法にはさまざまな種類がありますが、ここではスクラッチ開発とパッケージ開発について解説します。
①スクラッチ開発の特徴
スクラッチ開発は、要件に沿ってゼロからシステムを開発する手法です。
開発の自由度が高く、将来的な拡張性を見越したうえで、システムを開発を進められることが特徴の一つです。スモールスタートで開発して徐々に機能を拡張することも可能です。
既存のパッケージを使用せず、一からの開発を実施するため、パッケージ開発と比べてコストが割高になりやすく、時間もかかります。
②パッケージ開発の特徴
パッケージ開発は、既存の開発パッケージを使用して行う開発手法です。
すでに出来上がっているシステムや、ひな形を改良しながら開発を進めるため、スクラッチ開発よりも開発期間を抑えられることが特徴です。
ただし、パッケージによっては、カスタマイズできない領域や搭載できない機能などもあります。そのため、機能に関する要件をすべて反映できないケースも考えられます。
パッケージ開発の自由度と拡張性はスクラッチ開発よりも低いですが、初期費用を大きく抑えられる開発手法です。
スクラッチ開発の3つのメリット
ここからは、スクラッチ開発のメリットを詳しく紹介します。
①独自性の高いシステムを開発できる
スクラッチ開発の最大のメリットは、他社にはない自社オリジナルの機能を開発・搭載できる点です。
顧客ニーズや業界の要件に沿って、完全にカスタマイズされたソリューションを開発できます。
したがって、これまでにはなかった顧客体験を創出し、業界内で自社製品・サービスの差別化を図ることが可能です。
ひいては、企業の競争力が向上し、市場シェアの拡大にもつながります。
②要件定義を最適化できる
自由度が非常に高いスクラッチ開発なら、要件定義を最適化したシステムやソフトウェアを開発できます。
要件定義を細かく調整しながら、パッケージ開発では満たせない要求や特別な機能にも対応できるため、本質的な要件に焦点を絞ったシステム開発が可能です。
スクラッチ開発はパッケージ開発よりコストが割高になりやすいですが、不要な機能が一切含まれないため、費用対効果が高いとも言えます。
③システム改修をしながら長期的に運用できる
スクラッチ開発の場合、パッケージ開発のようにパッケージサービスの提供中止や、サポートの打ち切りなどでシステムが停止するリスクがありません。
また、自社に開発部門を設置している場合や、外部のシステム開発会社の協力体制がある場合は、迅速かつ柔軟にシステム改修が可能です。
スクラッチ開発はパッケージ開発と比べてメンテナンス性も高いため、長期的なシステムの運用にも適しています。
スクラッチ開発の3つのデメリット
スクラッチ開発を検討する際は、デメリットもしっかり心得ておきましょう。
①他の開発手法より開発期間が長くなりやすい
スクラッチ開発の場合、既存のシステムを使わずにゼロから開発を進めるため、基本的に開発が長期化します。
たとえば、新規開発の場合、システム開発の要件定義や設計などに十分な時間をかける必要があり、入念なテストも行わなければなりません。
スクラッチ開発は、数ヶ月から1年程度で開発が終わるケースもあれば、数年という長い期間を要するケースもあります。
そのため、あらかじめ開発期間を想定してプロジェクトを進めることが重要です。
開発期間を短縮したい場合、ウォーターフォール開発よりも開発期間を短縮しやすいアジャイル開発のスタイルでシステム開発会社に外注するなどの方法があります。
②初期費用が高額になりやすい
スクラッチ開発は開発期間が長期化しやすいため、それに応じた十分なリソースやコストが必要です。
たとえば、大規模なシステム開発を行う場合、数千万円以上の初期費用がかかるケースがあります。
パッケージ開発とは異なり、スクラッチ開発ではあらゆるニーズや要望を吟味しながら、システム・機能の要件へ落とし込む作業が発生します。
そのため、パッケージ開発よりも担当者に大きな負担がかかることを想定しなければなりません。
③開発に一定の技術とノウハウが求められる
スクラッチ開発でこれまでにないオリジナルの機能を開発する場合、専門的な技術とノウハウを持ったエンジニアが必要です。
そのため、自社に属するエンジニアだけでは、システム・機能の要件に対応できないケースもあります。
外部のシステム開発会社にスクラッチ開発を依頼する場合、優れた企画力・提案力・開発力を備えた担当者がいるかどうかが重要な選定ポイントとなります。
スクラッチ開発の基本的な流れ
スクラッチ開発の基本的な流れは、下記の通りです。
流れ |
詳細 |
①要件定義 |
開発するシステムに必要な機能、技術の洗い出し、アイデアの具体化をする工程。 |
②設計 |
要件定義に沿って、搭載する機能や言語などを決定する工程。 |
③開発 |
設計書に基づいてプログラミングし、機能を実装していく工程。 |
④テスト |
システムが仕様どおりに動作するか、機能ごとに検証・修正する工程。 |
⑤リリース |
テストで動作に問題がなければ、システムを公開する。 |
⑥保守・メンテナンス |
システムのセキュリティ維持、バグの修正、バージョンアップなどを行う。 |
スクラッチ開発の場合、システムの公開後に顧客ニーズの変化や、業務プロセスの変革に伴う機能拡張などの対応も行います。
継続的に安定した状態で稼働できるように、公開後の保守・メンテナンスまで注力する必要があります。
スクラッチ開発を進める2種類の手法
ここからは、スクラッチ開発を進める際に採用される、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の特徴について解説します。
①ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発とは、プロジェクトを要件定義、設計、開発、テストなどのフェーズで明確に定義し、段階的に進める開発手法です。
全体的な機能を初期段階で決定し、各フェーズが完了するまでは次のフェーズには進みません。
要件が明確であるため、プロジェクトの範囲や開発期間、全体的な予算を把握しやすく、プロジェクトの管理も比較的容易です。
ただし、初期段階で定義した要件をプロジェクトの途中で変更するのが難しく、製品・サービスが完成するまで、顧客のフィードバックを反映しにくいです。
ウォーターフォール開発はプロジェクトに安定性をもたらすため、政府のプロジェクトや大規模なシステム、リスク回避を優先するプロジェクトなどに用いられます。
②アジャイル開発
アジャイル開発とは、ウォーターフォール開発よりもフレキシブルかつ迅速な開発を目指す手法です。
初期段階では、その時点の情報でできる範囲の要件を明確にし、計画、設計、実装、テストという短期サイクル(スプリント)を機能単位で繰り返してリリースします。
スプリントごとに開発する機能を決定するため、プロジェクトの途中でも仕様の変更や顧客のフィードバックを柔軟に取り入れられるのがメリットです。
短期サイクルで成果物をレビューして問題点を改善していけるため、ニーズの変化をタイムリーに捉えた製品・サービスをリリースしたい場合に適しています。
スクラッチ開発をアジャイル開発で進める手順
スクラッチ開発をアジャイル開発で進める際、プロダクトバックログの作成、スプリントプランニング、スプリントレトロスペクティブを実施します。
それぞれの工程における具体的な作業や重要ポイントを解説します。
①プロダクトバックログの作成
プロダクトバックログとは、開発するプロダクトが顧客にもたらす価値に優先順位を付けて、リスト化したものです。
▼プロダクトバックログの主な作成手順
- プロダクトのゴール設定
- ロードマップの策定
- 管理方法・管理ツールの決定
- プロダクトバックログの項目作成
- 優先順位の決定
- 受け入れ基準の決定
- リファインメントの実施
プロダクトバックログで明示する項目は、ユーザーストーリーやバグの修正作業、技術的負債、必要な知識の獲得などです。
ユーザーストーリーとは、誰が使用するのか(ユーザータイプ)、何を達成したいのか(目標)、なぜそれが必要なのか(理由)を明確にする文書です。
プロダクトバックログは、スプリントにおける具体的な作業を明確にし、プロジェクトを円滑に進めるのが主な役割です。
②スプリントプランニングによる認識のすり合わせ
スプリントプランニングは、プロダクトをスプリントで開発する際、何を、どのように実行するかを決めるミーティングを指します。
▼スプリントプランニングの主な流れ
- プロダクトオーナーによるスプリントゴールの設定
- 開発チームへのスプリントゴールの共有
- スプリントバックログの作成
スプリントバックログとは、プロダクトバックログの項目に基づき、直近のスプリントで実施するタスクを整理することです。
スプリントプランニングは、これから取り組むスプリントの意義をチーム全体で共有し、スプリント期間内でゴールを達成するために必要なタスクを明確化します。
また、開発チーム全体のモチベーションや結束力を高める目的もあります。
③スプリントレトロスペクティブによる振り返り
スプリントレトロスペクティブとは、開発チームが自分たちのタスクやプロセスを振り返る工程であり、継続的に改善していくことを目指します。
▼スプリントレトロスペクティブを実施するタイミング
- スプリントバックログでタスクを整理する
- 毎日の活動状況を報告する(デイリースクラム)
- スプリント完了後のミーティング、成果物のデモンストレーション(スプリントレビュー)
- スプリントレビュー後のミーティング、プロセスの振り返りと見直し(スプリントレトロスペクティブ)
スプリントレトロスペクティブは、開発プロセスや技術の見直しおよび改善を経て、次のスプリントの品質を高める目的で実施されます。
また、開発チーム全体のコミュニケーションの円滑化や生産性向上につなげる役割も担っている重要な工程です。
まとめ
この記事では、スクラッチ開発の概要やアジャイル開発で進める手順について、以下の内容を詳しく解説しました。
- スクラッチ開発とパッケージ開発の相違点
- スクラッチ開発のメリット・デメリット
- スクラッチ開発の基本的な流れ
- スクラッチ開発を進める2種類の手順
- スクラッチ開発をアジャイル開発で進める手順
スクラッチ開発は、システムをゼロから開発するため、パッケージ開発と比べて自由度が高い開発手法です。
要件定義や顧客ニーズを的確に捉えたシステムを開発できることがメリットであり、メンテナンス性も高く、長期的な運用にも適しています。
長期的な開発になりがちなスクラッチ開発ですが、フレキシブルかつ迅速な開発を実現するアジャイル開発でリリースまでの期間の短縮や品質向上につなげられます。
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